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紀伊半島南西部の海岸線はリアス式海岸で、黒潮削り出しの岩肌が延々と連なる景色がすさまじく、折に触れては見に行くのです。入り江から足場とも言えない岩壁をつたい、いびつな岩肌を登って小高い場所に立つだけでも、まるで鳥になったかのような気分です。あれはいつだったか久方ぶりに訪れた和歌山。その日も例によって鳥になって眼前のパノラマにシビれていると、あらま海の真ん中にぽつねんと人の影があるではないですか。目をこすってもう一度。確かにだれかがジッと海を見続けている。釣竿でも持っていればそのまま見過ごせていたのだろうけど、その様子はないしどうやらスカートをなびかせた女性だってのが分かった。とにかくすごい波だし、潮が満ちる前に助けに向かった方がいいか。いろんな事情はあるにせよまだ早まることは無いじゃないの。いつだって人生はやり直せるんだからね、それにしてもどうすればそんな所まで行けるんだ? なに?写真撮ってたの?
写真家河島夏希曰く「トランス状態だった」と語っています。そこで撮った写真は、2025年1月11日に刊行となった河島夏希写真集「光ること」に収録されているとのことです。興奮の一片一片が68Pにもわたって編集された本編。印刷や装丁にもかなりこだわって作られています。ぜひ色んな方に見て頂きたいと思います。また1月26日(日)迄の期間、福島区海老江のブックカフェawaiyabooksにて展示販売が行われています。ぜひ会場でフォロンティアプリント(ネガ写真)をゆっくりと鑑賞下さい。本作について自身の感想についてはまだ言葉になりませんが、言葉になる前段としての印象を少し。68Pにわたる写真それぞれに自分自身の記憶の琴線に触れる部分がありました。それらはiPhoneで撮る個人的な写真でも、鉄オタ(彼らも写真家である)が躍起になりコレクションとして撮られる写真でもなく、あくまでニュートラルでまなざしとして私たちに語りかけてくるようです。光ること、それはキラキラと眩しいもののようでどこか切ない。巻末に綴られている作者の文章も必読です。素敵な作品集になりましたね。この度はおめでとうございました。
それにしても写真家とは望むイメージを得るためには危険を顧みない人種なのでしょうか。写真を続けているとそういった回路がショートするんだろうな。ところで今回クレジットを敢えて載せていませんが、印刷を手掛ける京都修美社や、JAM OSAKAで展開されるメイキングに同行し記録を担当しました。いい経験をさせていただきました。なっちゃんARIGATO!!! そして告知が遅れてすみませんでした。残り会期も頑張って。
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写真集発表展示会「光ること」
期間_R7.1/11(Sat)-26(Sun)13:00-17:30
(11Sat-13Monのみ10:00-17:30)
場所_awaiya books
〒553-0001 大阪府福島区海老江2丁目7−22
@awaiyabooks
2025年1月13日
おととしの秋、軒を同じくして四世帯が住まう二階建の長屋に越してきました。大阪梅田からふた駅離れた下町です。二階建だし躯体も古いので大掃除にはひと汗かかされます。大晦日はそうして暮れることになりました。ソファの1脚すら通せないほどの小さな玄関(小回りがきかない)、年季の入ったタイル張りの風呂や便所、それにしては広すぎる台所。二階建なので往来はあたふたするし、軒先の道路はクルマが1台ようやく通るくらいの路地の中に建っているから不便なのだけど、なかなかここでの生活は気に入っています。年末年始の買い出しのために最寄りの商店街に出かけたのですが、16時頃の空はすこしだけじめっとして、夕陽が分厚い雲で見え隠れしながら、だんだんと落ちて行く感じが、なんとも大晦日っぽいなと感じました。大掃除が終わったのは21時頃、歩いてすぐの場所に風呂屋へ2024年というこれまた激動の365日の錆を落としに歩く道中、自転車ごと転んだおばあちゃんを助けるという大団円。おばあちゃん、かわいそうやったわあ、大晦日の夜に一人ぽっちでコケてもうて。僕らがたまたま通りかかったからよかったけど。おばあちゃん「ありがとう、ありがとう」って泣いてはったわ。怪我せんでよかったね、良いお年をお迎え下さいゆーてね。
明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。