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2026年4月14日
ある席の会話の中で、写真屋の立場や考え方について聞かれました。「これはさすがに、自分の意見を持っとかないとな」と思い、こうして回想をしています。AI時代とも、スマホ写真時代とも言われる昨今のメディア構造をあなたはどう捉えるか。正直に言えばなかなか複雑です。それ自体宙に浮かんでいる問題のような気もして、彼が納得するような答えをその場ではうまく出せませんでした。四六時中写真のことを考えているはずなのに。いえ、何も考えていないわけではない。ただ「考える必要がない」というのが、いまの立場です。すでに撮影発注の母数は減りきっています。AI生成や素人写真で結果が出るのならそれでよろしい。きっとすべての宣伝や表現においては、この世のすべての人が編集長で、写真のクオリティの要否を決めるのは僕ではなく、彼らです。その判断を僕にはどうすることもできない。僕にできるのは感性と技術をせめて自分なりに日々アップデートしておくことくらいです。そう力強く書いてはみるものの、自分の職業にしがみつく必要も、本当はないのかもしれません。あらゆる変化にもめげず、OSさえ瑞々しくしておけば、人は何にだってなれる。プロの写真植字オペレーターも、プロの映写技師も、プロの牛乳配達員だって。どこかの誰かが需要の幕を開け閉めすることで、活躍の機会は少なくなっていきました。でも彼らは「居なくなった」のではなく、培ってきた感性と技術をそのままに、次のステージで、新たにOSをアップデートし、別のかたちで腕を振るっているのだと思います。いろんなヨコ文字の単語を光らせながら、時代や不安が、いくら僕を煽ろうとしても、僕は写真のためなら、何屋さんにだってなりますよ。その方が、AIやスマホを振るって仕事をしている人たちと比べても、むしろ芯がありそうじゃないですか。
これからとても大したことを言いますが、訪問者もあまりいない当ウェブページ管理人による独り言であり備忘録です。読んだあとは水にさらさらと流してもらってよろしい。われわれのやっていることは「光を翻訳すること」だと、最近になって改めて考えるようになりました。光を捉え、ときには設計し、最終的に写真という記号に翻訳していく。それが仕事です。そのとき光を読むための言語としていつも数字が使われます。焦点距離、絞り値やシャッター速度、感度やストロボ光量。幾つものダイヤルを同時にいじりながら、センスを数値感覚に落とし込んで商売をしているのだと思います。写真は半分が光で、もう半分が数字でできている。確かにそうかもしれません。ところでフィルム写真の現像をはじめて一年余りが経ちました。デスクのそばにはいつも《ファインプリントテクニック》という書籍が置いてあります。 平成四年刊行、僕と同い年のヴィンテージで、最高品質のモノクロプリントを得るための、いわば虎の巻です。この本を開くと、とにかく数字が多い。露光秒数、濃度差、コントラスト係数……ページをめくるごとに、写真と光の関係が数式のように並んでいきます。 ここまでくると、写真というのはもしかすると数学の親戚なのではないかと思えてきます。とはいえいまの写真の現場はすっかりデジタルが当たり前になりました。カメラもOSも、人間の処理能力の半分くらいはオート機能が肩代わりしてくれる。それでもなお、あえてさらなる数字を体に染み込ませ続けることが、僕の写真の証明になってくれると感じます。思えばとてもフィジカルな習慣です。誰かの背中を盗み見て、手を動かしながら板書するように覚える。そのうえで、自分なりに試行錯誤を繰り返す。その三段論法でしか体験し得ない知識に、僕たちはいまも助けられています。光を目で見て、数字で考える。それを逆にして、数字で考え、ファインダーを覗いて光を見る。撮影が終われば、集めた光の記録を数字として眺め、数字で編集し、また光としてアウトプットする。その繰り返し。僕の生活は、その繰り返しなんだなと思います。
2026年3月14日
写真作品を作っています。恥ずかしながら内容についてはまだ多くは語れないのだけど、なんとか年内にカタチにできればいいなと思っている。
2026年3月5日
小学生ぶりにインフルエンザになりました。はじめは症状も軽かったので「久しぶりの連休か」なんて読めていなかった本などを用意してゆっくり経過を見ようとしていたところでしたが、やがて長らく経験していなかったようなつらさが押し寄せ、結局、数日間床に伏すことになってしまいました。大阪はウイルスEXPOだと誰かが言ったのを思い出します。梅田駅、なんば駅、特に御堂筋線なんかを歩いていると否が応でもそのフレーズがよぎります。僕が保有したインフルエンザウイルスに血統書もなにもないのです。いつどこで産まれて、最近まで誰のカラダにいて・・・。全く怖い町です。何はともあれ快方に向かっているようでよかった。こうやってPCに向かいつつやっと本も読めるってことだし。粛々と残りの療養期間を過ごそうと思います。写真は去年秋に登った新穂高アタックのときのもの。すべて35mm。